自分の専門分野であるなしに関わらず、毎年必ず1つは自分のキャリアや人生の為になりそうな、なにがしかのセミナーに参加するようにしているのですが、今年の第一弾はバルシューレ(Ballschule)のC級指導者の講習会に参加することに決めました。



"バルシューレはドイツで生まれたボール遊び教室。 児童が楽しく関わりながらも、基礎運動能力・社会性・思考性・自発性を身に付けられる教育研究を背景に持ったボール遊び教室です。"(バルシューレ東京HPより)


具体的には、身体の使い方のレパートリーをふやすこと(基礎運動能力)、ほかの子供たちと協調すること、またほかの子供たちから学ぶこと(社会性)、そしてボール遊びをより上手に楽しむにはどうしたらよいかをクリエイトすること(思考性・自発性)をボールを使った遊びを通して養い、自分の得意なことに自分で気づいていく為の遊び、、、のようです。

技術指導などはなく、あくまで子供たちの自発性に重きを於いているというところにもとっても魅かれる。


バルシューレなんて全然知らなかったけど、長野県内でも上田市と佐久市に教室があり、松本市では松本山雅FCがその活動の一環で教室を開いているみたいです。 、、、サッカーだけでなく、サッカーの前段階、サッカーへと続くものに目を向ける山雅、、、やっぱり目の付け所がすごいな。

バルシューレに関してはこれからも少しずつブログで紹介していけたらと思っています。




あるクライアントさんから本、というか季刊誌をいただき読んでいます。

導入部分ではボディーワークの説明にはじまり、70年代に巻き起こったHuman Potential Movement(=人間回帰運動)だとか、その源流にもなり、今でも多くのワークショップが行われているEsalen Instituteについての記述があり、ツボをくすぐってくれます。

Human Potential Movementについてはぼんやりとしたイメージしかもっていなかったけど、“あらゆる人間には、条件さえ整えれば成長していくような潜在的可能性が備わっていて、成長をさまたげるようなものをとりのぞき、成長が起きるような環境づくりをしていけばいい”(雑誌 spectator vol.32-2014) といった思想が根底にあるようで、ロルフィングとシンクロする部分があるな~って感心。




ロルフィングコミュニティーでは、“重力がセラピストである ‐ 重力の線が身体を通り抜けていくとき、身体は自ずと癒えていくでしょう”という比喩的な格言があり、“身体の内側で起こる筋肉や筋膜の引っ張り合いのバランスを調え、その原因となるものをとりのぞけば治療(セラピー)はいらなくなる、身体を突き抜けていく重力を感じることによって身体は自ずと癒えていく、、、”といった意味を含んでいます。


その原因となるもの、とは、単に身体の癖などには限らず、身体に影響を及ぼす心理的なストレスやトラウマ、過緊張など身体をこわばらせてしまう性格的なもの、また我々の身を置いている社会的・文化的な要因などを含んでいます。 


身体の不調や病気の原因となるものが単に身体的なものだけでなく心理的なものも含むというものの見方は、ほんとロルフィングをはじめとするボディーワークの特徴だと思います。
だから、入り口は身体なんですが、クライアントさん一人ひとりの全体性を大切にしていく必要があるのです。


ここのところ自分の提供するセッションの中では、疲労を抜くことや、痛みの軽減などの身体の不調だけに焦点を当てすぎていた感があったので、この本を読んでちょっとニュートラルに引き戻してもらえました。


セッションを通して、現在の自分の在り方や、必要なもの、手放していいものなどに気づいてもらい、取捨選択をクライアントさんと共に探求していくのが、やっぱり自分の求める方向性かなって再確認するいい機会をあたえてもらえた気がします。 



“あらゆることは、それが生理的であれ、心理的であれ、霊的であれ、すべては筋肉の緊張として翻訳される” - F.M.アレクサンダー


原始反射⑥ 非対称性緊張性頸反射 (Asymmetrical Tonic Neck Reflex/ATNR)

期間:
受胎後18週~生後4ヶ月

刺激と反応:
首が右または左を向くと、そちら側の肘と膝が伸展し、反対側の肘と膝が屈曲する

機能・目的
・子宮内で筋緊張度を高め、前庭組織を刺激する
・産道を旋回する助けになる
・腹ばいになっていても気道を確保する
・てや足や眼の“利き”を作る準備のため、身体を片側ずつ鍛え、両手と両目を同時に使う基礎を形成する
・手と眼の協調を育てる

関連部位:
胸、肩、首、両腕、両手の筋肉、また姿勢に関係の深い大きな深部筋にも関わる。
特徴としてこの反射の残存は学習障害児に多く見られる

解説:
非対称性緊張性頸反射(ATNR)は赤ちゃんの頭を左右の一方にむけると、同じ側の肘と膝がまっすぐに伸び、反対側の肘と膝が曲がるように入り込む反射です。


(ATNR)



生まれて間もなくの期間は正常にATNRが働き、赤ちゃんは目に入ったものを何でも目で追いかけます。 視点が集中し、手が同時に動くため、手(固有覚)と目(視覚)の協調性、目標物との距離感覚の発達においてANTRは重要な役割を果たします。


けれども時期を過ぎてもこの反射を保持したままだと、バランス感覚を欠き、楽に歩くことの妨げになります。 サッカーのような球技にもその影響は及びます。 ある方向を見たときに、目をむけたほうとは反対側の手や足が曲がるように動くため、自分の意識とは関係なく他の筋肉の働きを弱くしてしまうので、キャッチボールやさまざまなスポーツ活動の能力に影響を及ぼします。

<
strong>このようにATNRが必要な時期を越えても保持されると、自分が注意を向けたいもの以外へ目が移りやすく、気が散りやすくなりがちで、それが原因でADHDなどの診断をうけることがあります。 


また、ATNRを保持していると、身体の右側と左側の両方を協働させて動かすような作業が難しくなります。
それは手足の作業だけでなく目や耳も含まれます。 左右両方を使うので、右と左の利き目や利き手の判別がつきにくくなります。 右手で左側のものをとる、と言うような正中線を超える動きが苦手で、左右対称音図形を理解したり、描いたりするのも困難になります。 書くことは紙の上に手を置くことが必要ですから、ATNRを保持していると、書くことに非常に大きな労力を使います。


さらには、黒板を見てそれから手元に頭を戻すとくなど、書くために必要な手の微細な動きをすることが難しくなります。
この状態を解決するために、過度に筆圧を強くしている可能性があります。 そのために字がうまく書けず、力が入っているのですぐに疲れてしまうので、書ける量も減ります。


筆圧が強く、身体に力が入った状態で書くという活動をしているため、非常に大きな集中力と時間を必要としますので、頭の中にあるアイデアを書き写している間に、集中力が途切れてしまい、考えていることと違う余計な“言葉”が浮かんでくることがあります。 そのため、流暢に言葉を使える素晴らしい話し手であっても、ATNRを保持していると、アイデアを文章で書いて表現することになると途端に難しくなります。


このような状態で、頭を左右に回すとその間に目からの情報イメージが消えてしまったり、視野の一部が見えなくなったりすることもあります。
目が手を見てるときや、視点調節が必要な学習の場面において左脳と右脳との連絡に混乱が起こるために、心と身体の両方が“ごちゃごちゃ”“ざわざわ”した感じになります。


字を書いたり、絵を描いたり、キャッチボールをするようなときに使う手と目の協調作業にも影響が出ます。 手と目が独立して機能していないために、頭、目、腕、手などのスムーズな協調運動が必要となるバランスを取ることに常に無意識的にストレスを抱えています。 クロールでどちらか一方の息継ぎが苦手な人もATNRの影響が考えられます。 また、本を読むときなどに片目ずつで見ているようなときもATNRの保持が考えられます。


肩の怪我や故障を繰り返すアスリートやスポーツ選手はこのATNRを保持してる可能性があります。

その他、ATNRの保持によって、下記のような特性に結びつくことがあります。

・手と目の協調の困難
・文字を書くのが苦手、遅い
・鉛筆の握り方がきこちない
・黒板の文字を写すのが難しい
・読んでいる文字や列をすぐ見失う(どこを読んでいたかわからなくなる)
・キャッチボールが難しい
・正中線をまたぐのが難しい(例: 右利きの場合、ノートの左側に書くのが困難)
・視覚トラッキング(読んだり書いたりするときに必要な目の動き)の発達を妨げる
・バランス感覚が阻害される
・身体の左右を別々に動かすことが難しい
・利き手、目、耳が確立しない(学習に大きな問題がでます)
・距離の認識が難しい
・スポーツ全般が苦手
・大人の場合、慢性の肩こりや首の問題を持つ



(出典: 人間脳を育てる -動きの発達&原始反射の成長-  灰谷孝 著)





原始反射⑤ 対称性緊張性頸反射 (Symmetrical Tonic Neck Reflex/STNR)

期間:
誕生時には見られない。 生後6ヶ月~11ヶ月

刺激と反応:
首を後ろに曲げる(反らせる)と、上肢が伸展し下肢が屈曲する



首を前に曲げると、上肢が屈曲し下肢が伸展する



機能・目的:
・腹ばいから四つ這いに姿勢変換する際に必要
・全ての原始反射の発達統合を図る
・姿勢反射の出現・発達統合を促す

関連身体部位:
あらゆる身体組織と筋肉、特に眼が関連する

解説:
対称性緊張性頸反射(STNR)は手と膝を使ってはいはいすることへの踏み台になる反射です。 赤ちゃんが四つ這いになっているときに、頭が後ろに反ると一緒に膝が曲がり腕が伸び、逆に頭が前に(胸のほうに)曲がると、足がぴーんと伸びて腕が曲がります。

STNRは原始反射の次にやってくる姿勢反射に分類することもあります。
姿勢反射とは、私たちが日常生活のなかで立ったり、座ったりしているときに全身の筋肉が適度に緊張し、バランスを自動的に取ってくれている反射で、この姿勢反射のお陰で私たちは、立つことが自然に無意識にできています。
このことから、STNRが発達しない、または残存していると、まず姿勢の問題に繋がり、酷く猫背だったり、逆に背中を反らしすぎたりすることになる場合があります。

次に、眼の問題。 特に、眼の焦点調節機能(近くのものに焦点を合わせた後に、遠くの対象物に合わせる、またその逆)にも影響が出るので、黒板と手元のノートに焦点を合わせることが難しく感じられ、黒板の文字を書き写すようなことに時間がかかることで、授業の情報を見落として“ちゃんと集中して聴いてない”などと受け取られることもあります。 
また、手と眼の協調性に問題が出たり、肩を丸めて前方へ傾いた猿のような歩き方が見られることもあり、すぐに机にうつ伏せになったり姿勢が悪くなったりする傾向があります。

STNRの動きを実際にやってみると、四つん這いの姿勢になって首を反らして遠くを見るときと、首を胸の方に曲げて床を見るときの視界の変化に気づきます。 これがSTNRの動きのひとつです。 やがて前後に身体が揺れるような状態(ロッキング)になってはいはいへと発達していくことがわかります。 このような流れにおいて赤ちゃんは自然とSTNRを統合して、視覚の焦点調節機能や遠近調節機能を育て、はいはいができるようになっていくのです。


(ロッキング)


時には、前頭葉の働きが十分でないことが原因になって、掃除や片付けなどにも必要な計画化、組織化するスキルが弱い傾向が見られることもあります。



(出典: 人間脳を育てる -動きの発達&原始反射の成長-  灰谷孝 著)

原始反射④ 脊髄ガラント反射




期間:
妊娠20週目~生後5ヶ月

刺激と反応:
腰周辺の外側3cm辺りと上下にこすると刺激された方向に体幹部が曲がる

機能・目的
・前庭系を発達させる
・音伝導(胎内で脊髄からの振動を耳に送り聴覚を育てる)
・賛同を通り抜けられるよう手助けする
・固有受容感覚の発達を促進させる
・脚と体幹部の協調性を高める

関連身体部位:
腰・臀部・骨盤辺りと脚の背面の筋肉

解説:
脊髄ガラント反射は、赤ちゃんが産道を通ってくるときに必要なお尻の動きを助けるために存在しています。
通常の時期を過ぎて脊髄ガラント反射が保持されていると、服が触れるなど、腰の辺りへのほんの軽い刺激によって常に反射が引き出されているかも知れません。 教室でも、椅子の背もたれやズボンのウエストゴムなどで刺激されまて、そわそわもじもじ動き、常に身体の位置を変えることになります。 このように背中に常に刺激物があることが、集中力や短期記憶に影響を及ぼし、トラブルの原因になり、座った姿勢を維持することができない場合があります。 良い姿勢を保つために必要な“姿勢反射”の発達に影響があることもあるからです。

膀胱排尿反射を含む神経系の働きにより、脊髄ガラント反射を保持している子供たちは排泄のコントロールが難しい傾向にあります。 寝ている時には、敷き布団やシーツによってこの反射が刺激され、さまざまなおねしょ防止対策にも関わらず、意図しない排尿反射を引き起こし夜尿を繰り返してしまう可能性があります。 そして、足を引きずるような兆候があったり、ときに脊柱側湾症の一因になったりします。

また体幹部(胴体)と下肢部(脚)を別々に動かすことがむずかしくなり、慢性的な腰痛に悩まされたり、ぎこちない動きの原因になったり、聴覚的、視覚的な課題をかかえたりする可能性があります。



(出典: 人間脳を育てる -動きの発達&原始反射の成長-  灰谷孝 著)

原始反射③ 緊張性迷路反射(Tonic Labyrinthine Reflex/TLR)

期間:
前方TLR-妊娠12週間~生後4ヶ月
後方TLR-誕生時~3歳

刺激と反応:
後方TLR-仰向けで首を後ろに傾けると上下肢が伸びる
前方TLR-うつ伏せで首を前に傾けると上下肢が屈曲する

機能・目的:
バランス・筋緊張度・感覚が鍛えられる
正しいはいはいの姿勢をとる助けになる

関連身体部位:
全身の筋肉全てに影響。 特に首・肩の辺りと腰・お尻や同の大きな深部筋に関係している 



(上図:後方TLR、下図:前方TLR)


解説:
緊張性迷路反射(TLR)は、私たちの空間位置、バランス、運動に関する内耳の感覚機能である前庭機能に大きく関わっている反射です。

後方TLRの統合不全-ふにゃふにゃしていて、身体の軸がないような感じ
前方TLRの統合不全-運動の際にぎこちなさ、身体の硬さ、不器用な様子がみられる

このTLRがうまく統合されない場合、バランス能力に影響を及ぼし動きに関する課題を持ちやすくなり、また視覚機能を含んだほかの感覚機能の発達を妨げることにもなります。

例)
歩き始めるときに、空間、距離、奥行き、速さを認識して安全・安心して歩くことが難しい。
机に座って机の上のノートを見て座るという通常の学習姿勢で集中することが、難しくて、居心地が悪く感じる。
→椅子の上であぐらを掻く
→くねくね左右に動いたりする
→脚を椅子の足に絡める
→両手を両膝の下に入れる

(居心地の悪さを軽減させるために、身体を動かしていることを集中力が欠如していたり他動だと見られることがあります。 また、こういった子どもたちは、ときどき発達性協調運動障害と診断されたり、動きのぎこちなさを他の子どもたちにからかわれたりすることがあります。)



(出典: 人間脳を育てる -動きの発達&原始反射の成長-  灰谷孝 著)


さて、原始反射についての2回目のエントリーです。

保育園や幼稚園の運動指導をされているクライアントさんとのセッションの折、会話の中で子供達の心身の発達のことが話題に上り、灰谷さんの本を読み返すきっかけになったのですが、これら原始反射の残存による影響については小さなお子さんをお育ての親御さんのみならず、幼児・児童教育に携わる先生方や、カウンセラー、ボディーワーカーの方たちには是非知っておいて欲しいことだと感じています。



原始反射② モロー反射(Moro Reflex)





期間:
妊娠27週~生後6ヶ月(誕生時に見られる)
刺激と反応:
頭部に急な動き(頭を後方に傾ける)が在ると始めに上下肢の伸展・外転。 後に屈曲・内転が見られる
機能・目的:
誕生時にはじめての肺呼吸への切り替えを促し、窒息の危険があるときに気管を開く。 また危険を察知したときに自己防衛を行う
この反射の残存によって影響を受ける身体部位:
全身の筋肉及び組織。 特に感覚 (視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚、*固有覚、*前庭感覚)、運動機能

*固有覚
関節の曲げ伸ばしや筋肉の動きを脳に伝える感覚。
この感覚のお陰で無意識のうちに自分の指先から脚の裏、膝や肘など、、、体全部の位置がどこにあるのかがわかる。
固有覚の認識が弱いと障害物との距離感がつかみずらくなる。
*前庭感覚
身体をまっすぐに保つが目の感覚。
自分の上下・左右・前後を感じ取る。
前庭感覚がうまく使えないと姿勢の自動調整が難しくなる。



解説:
モロー反射は、赤ちゃんの様々な感覚器官にやってくる刺激(大きな音、明るい光、突然荒っぽく触れること、バランスが崩されるような刺激)によって引き起こされます。

生まれたばかりの赤ちゃんの発達にとって大切なモロー反射も、その時期を越えて生後約6ヶ月以降も保持していると、意思決定や欲求の抑制を行っている脳の働きに制限をかけます。 また自分では制御しきれないさまざまな過敏反応(光、音、肌や痛みへの感覚過敏)として現れます。 

そして、感覚の過敏傾向にあるために、脅威や危険に対しも敏感で、必要のないときにまで闘争・逃避反応を起こしている可能性があり、モロー反射がうまく統合されていない人には、すぐ攻撃的になる、過剰反応する、感情が高ぶりやすい、静かに休むのが苦手、リラックスできない、などの特徴が見られます。 そのため、ずっと興奮しているような印象を与え、集団行動すること、愛情をうけいれることが苦手なのが特徴です。 本当は好きだと思っていても“嫌い”と逆のことを言ってみたり、からかうような態度をとる結果へとつながります。

モロー反射の名残を残しストレスに対する闘争・逃避反応が常に繰り返されている状態が続いてた状態で成長していくと、場の雰囲気や人の心の機微を捉えるための知識や感受性が損なわれてしまい、学校や職場、皆で遊ぶなどの集団性や社会性が求められる場面で苦労している可能性があります。




(出典: 人間脳を育てる -動きの発達&原始反射の成長-  灰谷孝 著)

お子さんのいらっしゃるご家庭の方々ならおそらく耳にしたことがあるであろう“原始反射”

原始反射は赤ちゃんが生まれてすぐの期間を生きていくために、また人間としての生活の基盤となる身体の発達のために備わっている反射的な(ある刺激により誘発される)動作です。 
幼児はそれぞれの原始反射を充分に経験することにより、身体の動作の基盤が徐々にできあがり、それらの反射的動作は生後2年くらいでその役目を終えると自然になくなるのが本来のあるべき働きです。、
しかしながら、何らかの理由でその反射の名残が残ってしまった場合、幼児期の動きの発達を抑制してしまい、身体の使い方や情動にも影響を及ぼしてしまうことがあるようです。

今後、数回のエントリーに分けてこの“原始反射”について、発達支援コーチの灰谷孝さんの著書に基づいて紹介していこうと思います。






原始反射① 恐怖麻痺反射(Fear Paralysis Reflex / FPR)

期間:
妊娠5週目~12週目(誕生時には統合)
刺激と反応:
母体のストレスを感じると全身を固める
機能・目的:
母体のストレスから受ける悪影響から身を守る
この反射の残存によって影響を受ける身体部位:
身体全ての組織、特に背面の筋肉、バランス、視覚

解説:
お母さんがストレス状態になった時にお腹の中の胎児が首、肩、身体などを固めてストレスの悪影響から身を守る反射が恐怖麻痺反射(FPR)です。
FPRが出生以後も何らかの理由で保持されていることで、全身の様々な器官に影響が出ます。RPRを保持したままの子供の多くは、背面の筋肉が非常に固い状態で、肩や背中、ふくらはぎなどの筋肉を固め、呼吸にも制限がみられることがあります。 
そのほかにも視覚や動眼神経の発達が未熟になりがちで、本を読んだり誰かに視線を集中させたりする見ること”も難しくなります。


FPRは、危険を感じたときに“身を固めて守る”という反射なので、出生後にもFPRを保持していると、性格にも影響し、引っ込み思案、新しい状況や場所で無口になる、いつもと違う状況を嫌がったり対応が困難になる、などの特徴につながります。
またFPRを保持していると、過敏傾向があるために、人ごみを嫌う、車に酔いやすいなど様々な感覚過敏を持つこともあります。




(出典: 人間脳を育てる -動きの発達&原始反射の成長-  灰谷孝 著)




前回のエントリーでは体性感覚のことについて少しお話しましたが、今日はその中の深部感覚 (固有感覚) についてもうすこし掘り下げて、この感覚がどのような働きをしているのか、そして、もしこの感覚がなかったら、私たちはどうなるのかを少しお話したいと思います。


前回もお話しましたが、深部感覚は、皮膚や粘膜の表面ではなく、それより深部に存在する筋、筋膜、腱、関節、骨膜などに点在している感覚受容器 (センサーのようなもの) によって感じ取られる感覚で、”固有感覚”とも呼ばれています。 深部感覚は、位置覚、運動覚、重量覚に分けられ、人はこれらの感覚によって、眼を閉じていても手の位置や曲がり具合、その動きを感じることができます。

位置覚
手足や身体の各部の位置関係がわかる感覚。 
自分の身体と外界との境界線を感知し、また自分の身体と言う存在をリアルに感じる上で基礎となる感覚といえるでしょう。

運動覚
関節運動の方向を感じ取る感覚。
この感覚があることで、立って、歩いて、走ることができます。 この感覚がないと運動の状態がわからないので、関節の稼動範囲を超えていたとしても、それに気づかず怪我をする恐れがあります。 つまり、自分の外部または内部の情報を知る上で動くということの基礎となる感覚といえるでしょう。


重量覚
物体を持ってその重さ(重力)がわかる感覚。 重さの違いを感じ取り、必要に応じた筋力をつかって身体を安定させる感覚。
人が重力下で生きる上で、重力の大きさを知る基礎となる感覚といえるでしょう。
 







深部感覚は五感に続く”六つ目の感覚”とも呼ばれもっとも身近な感覚のひとつでありながら、その性質上、当たり前すぎて、私たちの意識にほぼ上らない感覚です。 
言い換えれば深部感覚は”無意識”の感覚ともいえます。 それでは、その無意識の感覚を失ってしまうとどうなるのでしょうか?

もし深部感覚がなかったとしたら、運動に際しては視覚と触覚を頼りにする他ないでしょう。 眼で見て自分の姿を映し出し、手で触って自分の存在を確かめる。 自分の中身を知る術はなくなります。  更にこの視覚と触覚による確認ができない場合はどうなるでしょうか? 自分と空間を区別することができなくなっていきます。 

自分は空間の中に溶け込んで、自分と空間の境目がない。 つまり、どこからどこまでが自分なのかわからない状態。 それは空間の中に自分の意識だけが存在し、自分と言う実体がなくなってしまうことに近い状態です。



世の中はあらゆる分野でオートメーション化が進み、身体を使うことが少なくなり、現代人には内部の受容器に対する刺激が減少しています。 そのため極端に深部感覚が鈍くなる傾向にあります。 それは、自分の身体を頼りにしなくても不自由なく生活できる環境に人類が発展したことが影響しているのかも知れません。 けれどもその一方で、自分の中の自分を見失うことに繋がっているようにも思えます。



前々回のエントリーでもお伝えしましたが、若年層の外反膝に関するお問い合わせが増えてきていますので軽く触れておこうと思います。

X脚といったほうがイメージがわきやすいであろうこの症状、膝が内側に入り脚全体で”X"の形を作っている状態ですが、後天的な原因としては以下のことが挙げられます。

1、いわゆる”内股座り”や”お姉さん座り”と呼ばれる日常的な座り方のクセ
2、骨盤の傾きや歪みから起因されるもの
3、幼年時の運動不足による筋のアンバランスな発達
4、腹筋、臀筋の弱さ
5、上記のコンビネーション



この原因の中でも改善の足がかりになりやすいものが、2番目の“骨盤の傾きと歪み”の改善です。


骨盤の傾きと歪みの改善

ストレッチ・エクササイズによる骨盤・股関節周りの張力のバランス化

それと平行しての日常的な身体の使い方の改善



骨盤が前に傾く(いわゆる反り腰だと)と、股関節は内向きになりそれと連動して膝は内側をむいてX脚の状態になります。 股関節が内向きになっている状態が長く続くと必然的に、内転筋は固くなり、骨盤も閉じた状態になります。

問題として目に見えるところに原因があるわけではなく、身体をひとつの繋がりとしてみたときに初めて改善点が見えてくるいい例ではないでしょうか。 

セッションでは身体の全体性を重んじつつも腰椎・骨盤・股関節の繋がりを注視しつつバランスを整え、それに加えてホームエクササイズの指導などを行って改善を促しています。

左からシリーズ前、#1後、#2後
















※カテゴリー別のRSSです
プロフィール
ロルファー のり
ロルファー のり
アメリカで5年間、アスレチックトレーナーとして活動後、"癒し" そのものに興味を抱き、ボディーワークの世界に足を踏み入れました。 2010年9月にロルフィングというユニークな整体法の資格を取得し、帰国。 その後、縁あって信州ブレイブウォリアーズと言うバスケットボールチームで2年間お世話になりました。

アスレチックトレーナーとしての経験と知識、ロルファーとしての哲学と手技を生かすべく、2013年より長野市若槻エリアと千曲市戸倉エリアで、"ロルフィング長野"というボディーワークスペースを主宰しています。

おらが国、信州をこよなく愛する40歳
家族構成: 妻と娘(高校2年生)
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