体性感覚

今年に入りロルフィング長野のホームページに”体性感覚について”の項目をアップしました。
これまでは、ロルフィングを解説する上で、筋膜を始めとする結合組織や、重力との関係性については述べてきましたが、ロルフィングが人の精神や心に与える影響やそのメカニズムにはあまり触れずに来ていたように思います。


今日のエントリーはちょっとその辺りについてお話し。


そもそもロルフィングが一般的な整体やマッサージなどと比べ、ユニークなところは、“重力との(身体的な)調和を目指す、と共に、「身体を媒体とし、クライアントのあたま(思考)・こころ・からだの調和を促す」”こと(=ホリズム:全体観)、にあります。 


身体の統合だけでなく、身体の統合+身体と心の統合 (調和、つながり、一体性、、、表現の仕方はいろいろありますが、、、)。 そして身体と心の架け橋になってくれているのが、少し専門的な言葉になってしまいますが、、、体性感覚という感覚です。 体性感覚は、視覚(目)や聴覚(耳)など五感を司る特殊感覚と違い感覚器が外からははっきり見えない感覚で、大きく皮膚感覚深部感覚とに分けられます。

皮膚感覚は触覚、圧覚、痛覚、温度覚など圧力や、痛み、温度を感じる感覚。 深部感覚は、目をつぶった状態でも手足など身体の特定の部位がどこにあるのかを把握し、関節の動きを感知する、いわば自分の存在を感知する感覚です。





体性感覚

深部感覚は”六番目の感覚”と表現されることもある重要な感覚です。
普段は意識することがあまりない感覚ですが、不安定な環境でバランスを取ることができるのもこの感覚のお陰なのです。 当たり前すぎて気にしたこともない人が多いかと思いますが、目を閉じても(視覚に頼らずに)”自分の身体がある”ってことを感じられるのってよくよく考えてみると不思議じゃないですか?(笑)







セッションにより受けた外部からの刺激や、自ら動かした筋肉や関節の動きなど内部の情報が体性感覚を通して脳にある体性感覚野という場所へ送られます。 


体性感覚




そして体性感覚野は受け取った刺激を処理し、更に必要な反射、言動を引き出すために脳のほかの部位へと信号を送ります。 脳は場所によって様々な機能を分担していますが、様々な機能同士が相互に影響を与え合い情報を処理しています。  


体性感覚




つまり、体性感覚を通して外部からの刺激をしっかり受け取る(感じ取る)ことで脳の活動自体が活性化され、思考、情緒、運動、理性など、他の機能も高まっていくことにつながるのです。


10シリーズの過程でクライアントさんが身体の悩みの改善以外で、

“なんだか気持ちも前向きになってきた”

“自分を肯定することができるようになった”

“これまでストレスに感じていたことをうまくマネジメントできるようになった”

“気持ちに余裕ができた”

”身体の輪郭がハッキリしてきた感じがする”

”テーブルの角に身体をぶつけなくなった”

“五感がより鮮明になった感覚がする”



といった感想をシェアしてくださることがありますが、これは体性感覚野を通して脳に伝わった刺激の結果、それが精神的、感覚的な部分へ好影響を与えているいい例なのではないかなと感じています。



セッションを通しての外的、内的な刺激を丁寧に感じ取り、身体で感じ取るという感覚に寄り添うことによって、“こころ”を司る脳も活性化され、身体と心の一体性がより鮮明に感じられるようになります。そして、そこにロルフィングの目指す身体とこころの調和が生まれるのです。


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プロフィール
ロルファー のり
ロルファー のり
アメリカで5年間、アスレチックトレーナーとして活動後、"癒し" そのものに興味を抱き、ボディーワークの世界に足を踏み入れました。 2010年9月にロルフィングというユニークな整体法の資格を取得し、帰国。 その後、縁あって信州ブレイブウォリアーズと言うバスケットボールチームで2年間お世話になりました。

アスレチックトレーナーとしての経験と知識、ロルファーとしての哲学と手技を生かすべく、2013年より長野市若槻エリアと千曲市戸倉エリアで、"ロルフィング長野"というボディーワークスペースを主宰しています。

おらが国、信州をこよなく愛する40歳
家族構成: 妻と娘(高校2年生)
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